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三線おやじの三線作り12 棹を作る(墨付け) [手作り三線]

今回は、棹の墨付け(材料への下書き)の話です。
私はこの「墨付け」という言葉が好きです。
やることは、材料に図面通りの図を写すことです。
下書きと言っても良いのですが、下書きという言葉では、正確さが伝わらないような気がします。
図面通りに写すというのも間が抜けている気がします。
「墨付け」という言葉だと、正確な図が必用という緊張感が伝わってくる気がしませんか?

棹の製作

棹の墨付け

 墨付けを行う前に

 棹の形状は、弾きやすさに大きく影響します。特に、棹の幅と胴に差し込む部分の寸法は重要です。できるだけ正確な墨付けを行って下さい。
 販売店の材料は、保管状態にもよりますが、乾燥が均一ではないと考えてください。このため最低でも数日は作業を行う場所と同じような環境に材料を放置し、水分による歪みを無くしてください。この時、材料を壁に立て掛けて、全ての面の風通しを良くして下さい。
 乾燥終了後は、材料の歪みを確認し、必要なら面の修正を行います。修正不要の目安は、面と面の直角度の場合は目視でほぼ直角であること、各面の平面度(反り)の場合は800mmで1㎜以内です。修正が不能な程変形した場合は、材料の素性が悪いと思って、使用をあきらめた方がよいでしょう。
 次に、棹の表裏・上下を決めます。表は目視で凹面になっている側とします。棹の表側、端から150mmから300mmの範囲(弦を押さえる頻度の高いエリア)で、堅い方を上として下さい。表は弦を張る側、上は糸巻き側です。
 さらに、棹の長さと同じになるように材料を切断します。これで墨付け準備完了です。


 墨付け

 まず、基準となる線を引きます。基準線は棹の上端から580mmで、胴に差し込む付け根の位置となります。最初に表面(絃を張る側)に側面に対して垂直な線を引きます。この線を基準に、裏面にも同様の線を引きます。ただし、裏面の基準線は上端から580mmより少し短い距離になることに注意してください。
 次に、表面に棹の図面から正面図を写します。裏面には、糸を巻きとる部分の角穴と胴に差し込む部分のみ描きます。側面に棹の図面の側面図を写して、棹の墨付けは終了です。このとき、カラクイ(糸巻き)用の穴の中心を書き込むのを忘れないでください。3本のカラクイのうちの2本は側面に対して垂直ではないので、注意が必要です。
 棹の頭の部分の幅が広くなり始める位置には注意が必要です。この部分に左手の人差し指が触っている状態で弦を押さえたとき、「乙」「上」「五」の音がでるようになっています。サイズの異なる三線や、頭の部分のデザインが異なる三線を作るときはこの条件を満たすようにしてください。サイズの異なる三線を作る場合は、「音階」について述べている項の計算式を参考にして、幅が広くなり始める場所を求めてください。
 墨付け寸法は、「図2 棹」を参照してください。

棹墨付け.jpg

図2 棹
図2 棹.png
図面の保存と利用方法と三線の組立図はこちら。

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