SSブログ

三線おやじ流 三線の扱い方入門3 工工四 [手作り三線]

三線の扱い方の最終回は、三線の楽譜について書きます。

三線専用の楽譜は工工四(クンクンシー)と呼ばれます。
いきなり工工四を見ても、何のことかわからないと思います。
机上でただ説明を受けても、理解するのは大変だと思います。

やはり、三線を実際に弾きながら工工四の理屈を理解するのがベストだと思います。

三線に興味のある方ならどなたでも一度は耳にしたことのある、
「てぃんさぐぬ花」と「安里屋ユンタ」を例として載せます。

通常の楽譜、TAB譜(ギターで良く使われる楽譜。各弦に押さえる場所を記入した楽譜)と工工四を載せます。
これらの楽譜を見比べていただければ、工工四の理屈を理解していただけると思います。

楽譜をクリックすれば、別画面で拡大表示されます。

てぃんさぐぬ花工工四.png

てぃんさぐぬ花TAB譜.png

安里屋ユンタ工工四.png

安里屋ユンタTAB譜1.png
安里屋ユンタTAB譜2.png
安里屋ユンタTAB譜3.png

余談ですが、これらの楽譜も三線おやじの手作りです。
エクセルを利用し、フリーの楽譜フォントを使って作りました。
三線の弦を押さえる場所の文字は、通常のフォントを利用して三線用のフォントを作りました。
版権の問題でそのまま提供することはできないと思います。
やり方については、そのうちに説明するかもしれません。

三線おやじ流 三線の扱い方入門2 三線を弾く [手作り三線]

今回は三線の弾き方です。
この部分は載せるかどうか迷いました。

先生について三線の弾き方を学んだ事も無い私のようなものが書いても良いのか?
専門家からみれば、間違っている部分もあるだろう?
こんな思いを持ちながらも、あえて載せることにしました。

あくまで、三線おやじ流という事でご勘弁ください。

三線を弾く

音を出す準備

 三線を倒したりしてウマの部分に無理な力がかかると、ウマが壊れたり、皮(布)が破けたりすることがあります。このため、演奏時以外はウマを弦から外しておきましょう。したがって、演奏を始めるときはウマを立てることから始めることになります。
ウマの扱い1.jpg

 ウマを立てるときも皮に無理な力がかからないように注意してください。弦を指で引っ張り上げて弦と皮の間に十分な隙間を作ってからウマをセットしてください。
 ウマを立てる位置は胴の端から指3~4本の所です。ウマを立てる位置にしるしを付けておいても良いでしょう。また、ウマを立ててたときに傾いている方を猿尾側にしてください。
ウマの扱い2.jpg

音を合わせる

 三線の音を合わせる事を「チンダミ」と言います。三線は文字通り3本の弦しかありませんから、音合わせ(チンダミ)は3本の弦の音を合わせるだけです。通常、男弦(太)はド、中弦(中)はファ、女弦(細)はド(男弦の1オクターブ上)に合わせます。手近にある楽器やチューニングメーターで音を合わせてください。
 三線には次のような音合わせの方法があります。

 本調子

 最もよく使われる調弦方法です。通常はド、ファ、ドと合わせます。レ、ソ、レと合わせても本調子です。

 二揚げ

 本調子の中弦を一音(全音)上げます。男弦がドなら、中弦はソ、女弦はドとなります。

 三下げ

 本調子の女弦を一音(全音)下げます。男弦がドなら、中弦はファ、女弦はシの♭となります。

 三線の音合わせの呼び方は、絶対的な音の高さではなく、3本の弦の音の高さの関係で決まっていることに注意してください。曲によって絶対的な音の高さ(キー)が変わると三線はその都度音合わせ(チンダミ)を行う必要があります。同じ曲でも、歌う人が歌いやすい音の高さ(キー)に合わせるなら、チンダミを行います。
 キーが変わるとチンダミを行うのは面倒ですが、三線を弾く指使いのパターンは同じとなり、演奏するのは簡単になります。三線の弦が三本しかなく、歌いながら弾くことが多いので、このようになっていると思います。

三線を弾く

 弾き方については、三線を弾ける人に聞くか、三線の教則本に頼ることを薦めます。ここで述べているやり方は、私が弾きやすいと思っている方法です。ギターを弾いた経験が少しあるので、かなり影響を受けていると思います。三線の演奏方法については、沖縄に旅行したときに一時間ほど手ほどきをうけただけで、あとは市販の教則本頼りです。

 三線の持ち方

 写真を参考にして下さい。歌いながら弾くことが基本になっているので、歌いやすい姿勢で構えて下さい。背筋を伸ばして、肩の力を抜いて下さい。
三線の持ち方1.jpg
 演奏時に左手がなるべく自由になるように、右腕主体で三線を支えます。三線を右ひざに乗せて、右の腕を三線の胴に乗せます。左手を使わなくても三線が支えられるようにしてください。このとき、右手首の力は抜いてください。
 棹は、握らないで下さい。人差し指の付け根と親指で軽く支えるような感じで持ちます。
三線の持ち方2.jpg

 弦の押さえ方

 基本的には、人差し指・中指・小指で弦を押さえます。
 押さえる場所は図のようになります。図の西洋音階との対応は、男弦をドにした本調子の場合です。他の調弦方法でも、押さえる場所の呼び名は変わりません。三線専用の楽譜は工工四(クンクンシー)と呼ばれ、押さえる場所の呼び名と長さが列記されています。
押さえる場所と呼び方.gif
 押さえる場所の指の割り当ては表のようになります。
読み方と指使い.gif


 弦の弾きかた

 弦は、通常手首を動かして人差し指の爪、ピック又は三線用のばちで弾いて音を出します。
 三線用のばちで弾くと、音量も大きく三線らしい音になりますが、慣れるのに時間がかかります。また、沖縄以外の場所で手に入れるのは困難です。
 ギター用のピックがお奨めです。なるべく固めのピックを使う方が三線らしい音になります。
 それぞれの使い方は写真のようになります。
ピックと指で弾く.jpg
バチで弾く.jpg

 演奏方法

 弦を上から下に弾くのが基本です。この場合特に呼び名はありません。
 ・打音(ウチウトゥ)
ウチウトゥ.gif 左手(棹を持っている手)だけで弾きます。楽譜では、このように文字の右上に点が付きます。 

 ・掛音(カチウトゥ)
カチウトゥ.gif 弦を下から上に引っかけるように弾きます。楽譜では、このように文字の右上にカギかっこが付きます。

三線おやじ流 三線の扱い方入門1 部品の組立 [手作り三線]

これまで、カンカラ三線の作り方を説明してきました。
とは言ってもパーツが出来ただけで、これでは三線とはいえません。
組み立てて弾いてこそ三線です。
知り合いに頼まれて三線を作ったとき、説明用としてまとめた「沖縄三線 扱い方入門」を載せます。
三線おやじの我流ですが、少しは役に立つと思います。
三線の扱いをちゃんと習得したい方は、先生につくか教則本を購入されることを薦めます。

沖縄三線 扱い方入門.jpg

 これまでは、三線の部品を作る方法を述べてきました。ここでは、三線の組み立て方や弦の交換方法等、三線を扱う為に必要な事柄について説明しています。
 演奏方法については、初歩の初歩、ほんのさわりだけ書いてあります。実際の演奏を聴いて、そのまねをして自分のものとすることが、三線演奏の本来のあり方のようです。最近は、三線の演奏が入った沖縄音楽のCDがたくさん出ています。気に入ったCDを購入し、その曲が練習曲として入っている教則本を購入して弾いてみる事が、三線を楽しむ近道と思います。三線の教則本は、比較的規模の大きい楽器屋さんには置いてあるので、試してみてください。
 三線は沖縄の楽器ですから、各部の呼び方も沖縄の言葉がベースになっています。地域によっては異なった呼び方もあるようです。
三線各部の名称.jpg

三線の組み立て

歌口の取り付け

 写真のように、棹に歌口を取り付けます。歌口にガタがあると、音がびびる原因となります。取り付けた歌口の両端を交互に押さえてガタがあれば、棹側の歌口を取り付ける部分又は、歌口の底面の修正を行ってください。
 棹の表面から弦を架ける溝までの高さも重要です。歌口を棹の取り付け口にしっかり押し込んで高さの確認を行ってください。
歌口取付け.jpg

カラクイの取り付け

 カラクイを棹の穴にしっかり押し込んでください。この状態でカラクイを横に動かしてガタが有るなら、穴又はカラクイを修正して、ガタの無いようにしてください。
カラクイ取付け.jpg

胴の取り付け

 胴の角穴に棹を差し込みます。棹を差し込むときに、なるべく横方向の力を加えないように注意してください。横方向に無理な力を加えると、胴の角穴が変形したり壊れることがあります。弦を張る力で棹が胴に押し付けられるので、棹と角穴の多少のガタは気にする必要はありません。
棹を胴に取付け.jpg

弦を張る

 まず、猿尾(サールージュウ)を棹の端に掛けて下さい。
 次に、サールージュウに弦を結びます。ここでは、二つの方法を紹介します。最初の方法は、私が通常使っている方法です。ほとんどの場合はこの方法で大丈夫ですが、細い弦の場合に強く引っ張ると解けてしまうことがあります。そのような場合は、2番目に紹介している方法を試してください。他にも様々な結び方があるようです。演奏に支障が無ければどんな結び方でもかまわないと思います。いろいろ試してみてください。
弦 猿尾取付け1.jpg
弦 猿尾取付け2.jpg
 次に、カラクイに弦を通して巻き上げれば弦を張る作業は終わりです。どのカラクイにどの弦を通し、どの方向に巻くのかについては、写真を参考にしてください。また、弦を強く張る前に、棹に対する弦の位置が適正になるように、サールージュウの位置を調整してください。
弦 カラクイ部分の処理.jpg

三線おやじの三線作り17 猿尾づくりと弦 [手作り三線]

カンカラ三線づくりの説明が今回で終わり、「三線おやじの三線作り」も一段落です。
出来上がったパーツを組み立てて、三線を完成させてください。
組み立て方については、次回説明するつもりです。
三線の扱いや弾き方については、三線の教則本を購入されることをお薦めします。

出来上がった三線があなたのお役に立てることを祈ります。

今後は、チーガに布を張る少し本格的な三線作りの紹介となります。

猿尾の製作

材料の選びかた

猿尾材料.jpg サールージュウ(猿尾)は、弦と棹を繋ぐ重要な部品です。弦を張る力と同じ力が加わるので、それに耐える強度が必要になります。また、音の高さが変化しないように、引っ張られたとき伸びにくい性質も要求されます。さらに、目立つ場所に取り付けるので、美的要素を考慮する事も必要です。要求される寸法は紐の直径だけで、1.5mmから2.0mmです。1つのサールージュを作るのに約80㎝の長さがいります。

猿尾.jpg 強度の点から、材質は化学繊維を推奨します。美的要素を考慮するなら組紐が良いのですが、伸びやすい欠点があります。この欠点を補ってくれるのが、芯入りの組紐です。京結び紐の芯入りがお勧めです。DIYショップではなくクラフトショップで販売しています。
 紐の結び方は、「図9 猿尾(サールージュウ)」を参照してください。紐の端はほつれ易いので、接着剤で固めるか、熱で溶かしてください。

図9 猿尾.png
図面の保存と利用方法、三線の組立図はこちら。

三線の弦

弦.jpg 三線の絃だけは、流用できる材料を見つけることが出来ませんでした。釣り糸には様々な種類があるので期待したのですが、流用できそうな物は見つかりませんでした。もしあったとしても、弦として必要となるのは1m程ですからずいぶん割高になってしまうでしょう。
 三線用の絃は、3本セットで300円程度で販売されています。問題なのは、沖縄以外の楽器店では、ほとんど扱われていないことです。送料が絃と同じ位になってしまいますが、インターネットで注文して取り寄せる方法をお勧めします。
 市販されている三線の絃の直径を測定したら、女絃0.65mm、中絃0.8mm、男絃0.95mmでした。三種類の絃はすべて撚り糸になっています。材質はたぶんナイロンです。流用品を探したい方は参考にしてください。

三線おやじの三線作り16 カラクイを作る [手作り三線]

今回はカラクイの作り方です。
あとすこしで全てのパーツが揃うことになります。
三線が出来上がったらすぐに弾いてみたくなると思います。
そろそろ、三線の弦を手に入れる手配をしておいてください。
弦だけは、三線用の市販品を使います。
沖縄以外にお住まいの方はインターネットで取り寄せるのが良いと思います。
1セット(3本)で300円くらいです。(送料も300円くらいかかります。)
推奨メーカー及び推奨販売店はとくにありません。

カラクイの製作

材料の選びかた

 からくい(糸巻き)の弦を巻き上げる部分には強い力がかかるので、変形しにくく割れにくい材料が必要です。月桂樹、桂の芯材、花梨、黒檀、紫檀などがお勧めです。弦を巻き上げる部分が圧縮されて変形しますが、檜も使用可能です。割れたり折れたりすることを避けるためには、木目の方向が重要です。材料の長さ方向に沿った木目のものを選んでください。檜以外のこれらの材料は、比較的高価です。一本のからくい製作に必要なのは、長さ106mmで一辺が15mmの角材です。木材としては小さいので、端材コーナーなどで安いものが見つかることもあります。カラクイ3本分必要となるのは言うまでもありません。

カラクイ材料.jpg

加工

カラクイ斜め加工.jpg 最初に、一辺が15mm長さが106mm以上の角材(正四角柱)を準備します。角材の断面はできるだけ正方形になるように、鉋などを使って調整してください。
 「図8 からくい加工手順」が示すように、角材を傾斜の付いた四角柱に加工した後、傾斜の付いた八角柱に加工します。所定より長い角材を加工しているなら、ここで106mmの長さに切断してください。八角柱の先端側の糸を巻き上げるために棹に差し込む部分も、同じ要領で四角柱から八角柱へと加工します。そして、棹のテーパ穴とのはまり具合を確認しながらナイフやヤスリで断面が丸くなるように加工してください。製作図面と写真を参考にして作業手順の具体的なイメージを得て下さい。

カラクイ加工手順.jpg
 弦を通す穴は直径1.5mmのドリルで空けてください。このとき、穴を広げる力がかかった場合に穴が裂けにくくなるように、木目の方向を考慮して穴を空けてください。
 仕上げは#240のサンドペーパーをかけてください。棹に差し込む部分は、テーパ穴とのはまり具合を確認し、削りすぎないように注意してください。
 塗装はオイルフィニッシュがお勧めです。色は、棹とのバランスを考えて選んでください。
 詳細な寸法は、「図7 からくい」と「図8 からくい加工手順」を参照してください。
図7 からくい.png
図8 からくい加工手順.png
図面の保存と利用方法、三線の組立図はこちら。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。