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三線おやじの三線作り23 布を張る(貼る)2 [手作り三線]

今回で三線作りについての説明はほぼ終了です。
説明不足や理解に苦しむ言い回しもあったと思います。
三線おやじ流の手作り方法について、なるべく忠実に書いてきたつもりです。
付録の図面と写真を見ながらじっくり読んでいただければ理解していただけるものと思っています。
付属品等の説明もするつもりですので、もう少しお付き合いください。

布張り作業

 まず布を木枠(キルトフープ)に固定する作業について説明します。
布張り作業1滑り止め.jpg 布は、あらかじめ必要なサイズに裁断します。必要な布の寸法は、一辺が木枠の外径に5cmを加えた長さとなります。
 木枠と布以外で準備するのは、布の滑り止めとして使用するゴムバンドが2本と、内枠と外枠を挟むクリップが6個と、外枠を締め込む力を強化するための万力です。ゴムバンドの仕様は幅約20mm、厚み約1mm、折り径約240mm (480mmの長さを繋いで輪にしたもの)です。クリップの仕様は、とじ厚(くわえることができる厚み)10mm、とじ幅約30mmです。万力は、シャコ万とかB型クランプとも呼び、掴めるのは0~25mm幅のものです。

布張り作業2枠に布.jpg 最初は、内側の枠に写真のようにゴムバンドを取り付けます。ゴムバンドは布の滑り止めの役割を受け持ちます。次に、2本目のゴムバンドで布を内枠に固定します。このとき、表裏の区別がある布を使う場合は、面の向きを間違えないように固定してください。写真で見えている面が胴に接着される側です。胴に貼る面に皺ができないように布を固定してください。外枠を締めたとき、締め金具の付いた部分は布が寄せられるので皺ができやすくなります。内枠に布を固定したとき、外枠の金具部分に合わせる場所を決めておき、この部分は、ゴムバンドで固定した部分にできる布のしわもよく伸ばしておいてください。

布張り作業3外枠固定.jpg 布を胴に貼るとき、布を強い力で引っ張るので、布がずれないよう枠にしっかり固定する必要があります。外枠を締めるのに万力を使い、さらにクリップで内枠と外枠を挟むのは、布がずれる事を防止するためです。ただし、万力は締めすぎると金具取付部分が破損するので注意してください。また、布を引っ張ったとき、内枠と外枠がずれないように、枠からはみ出した布は、内枠側に固定してください。
 胴に布を貼るのは時間との戦いです。接着剤が固まらないうちに、手早く作業を完了させる必要があります。したがって、作業を滞りなく行う為の準備が重要になります。布張りに関係する全ての部品を、使用する順番を考慮して作業台に揃えてから作業を始めます。
 布目に対する胴の方向をあらかじめ決めておくのも、準備のひとつです。布は、引っ張る方向により伸びる量が異なります。一般的には、最も伸びにくいのが縦糸に沿った方向、次に、横糸に沿った方向です。それ以外の方向はとても伸びやすくなっています。従って、ウマを取り付けるのは、縦糸又は横糸に沿った方向が適しています。枠に固定された布の布目と引っ張りクランプを掛ける場所を考慮して、胴の方向を決める必要があります。
 布を枠に固定したら、霧吹きで布の両面にまんべんなくアルコールをかけて、布をしめらせてください。布の癖を取って、引っ張られたときの伸び代をできるだけ多くし、乾いたらより強く引っ張られた状態で布が胴に貼り付けられるようにするためです。アルコールを布によくなじませるために、布を貼る少し前にこの作業を行います。

布張り作業4胴に接着剤.jpg 胴の布を張る面に接着剤を塗布します。次の作業をやりやすくするため、置き板の上に胴を置いて、接着剤を塗布してください。布を張った枠を固定する方向を考慮して、胴を置く方向を決めてください。木工ボンドはナイロンの接着には適していません。それでも木工ボンドを使う理由は、布を張替えるとき簡単に剥がせるからです。布の織り目の隙間に接着剤が入り込むことにより接着効果があらわれると考えてください。従って、接着剤の塗布量は少し多めにしてください。布を引っ張ることにより、布は外側に向かって伸びるので、内側にはより多めに接着剤を塗布してください。
 布を湿らせたアルコールが乾いていたら、再度アルコールを吹きかけてください。板と胴の間に布を挟んでおくのは、布にかけたアルコールに接着剤が混ざって流れたとき、板と胴を接着してしまうのを避ける為です。

布張り作業5引っ張り.jpg 布を胴の上に置いてください。この時、胴の方向が布目に対して決めたとおりになっていることの確認を忘れないでください。胴は枠の中央にくるようにしてください。
 次に、クランプで枠を引っ張り、布を張る作業を行います。まず、それぞれのクランプを対角線上に掛けてネジを軽く締め、枠のどの場所でも板との距離がほぼ同じになるようにします。そして、各のクランプのネジを少しずつ均等に締めて布を引っ張ります。布を強く張った方がよい音がします。枠が壊れたり、布が枠からずれたりしない程度にネジを強く締めてください。織り目からはみ出した接着剤は、アルコールを付けたティッシュペーパーでふき取ってください。内側もきれいに接着するように、胴の真ん中におもしを置いて、布を少し沈み込ませてください。おもしを外したとき布はたるむことになりるので、おもしの重さは500g程度にしてください。此処までの作業は、アルコールが乾かないうちに終わらせてください。この状態で接着剤が乾くまで放置します。
 接着剤が乾いたら、クランプを緩めて布を枠から外します。クランプを緩めるときも、それぞれのクランプのネジを少しずつ均等に緩めてください。枠を外すときは、胴から布が剥がれないように注意してください。

布張り作業6側面処理1.jpg
布張り作業7側面処理2.jpg
 つぎに、側面に接着材を塗布します。あらかじめ付けておいた側面の中央の線まで接着剤を塗ってください。そして、写真のようにゴムバンドを側面に取り付けて、接着した部分を押さえます。ゴムバンドだけでは押さえる力は不十分なので、その上にトレーニングチューブを巻きます。ゴムバンドとトレーニングチューブで押さえた部分にできた布の皺は伸ばしてください。この状態で接着剤が乾くまで放置します。

布張り作業8側面カット.jpg 接着剤が乾いたら、布を切断して布張り作業は完了します。布を切断するには、刃が円形状になったカッターを使用するときれいに切れます。あらかじめ切断する位置に線をひいてから切断するとよいでしょう。布を切断した部分は糸がほつれやすくなっています。切断部分に接着剤を少量つけてください。

布張り作業9張力測定.jpg 布を張る強さを確認するには、ウマを立てる部分を約1.3Kgの力で押したときの布の沈み込み量を測定します。布の種類にもよりますが、沈み込み量が1.6mm以下なら、布を張る力は十分でしょう。測定する方法は、缶チーガの共鳴板の沈み込み量を測定する方法と同じです。

 布は胴の両側に貼ったほうがよい音がします。反対側にも同じ手順、同じ強さの張りで布を貼ってください。

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