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三線おやじの三線作り12 棹を作る(墨付け) [手作り三線]

今回は、棹の墨付け(材料への下書き)の話です。
私はこの「墨付け」という言葉が好きです。
やることは、材料に図面通りの図を写すことです。
下書きと言っても良いのですが、下書きという言葉では、正確さが伝わらないような気がします。
図面通りに写すというのも間が抜けている気がします。
「墨付け」という言葉だと、正確な図が必用という緊張感が伝わってくる気がしませんか?

棹の製作

棹の墨付け

 墨付けを行う前に

 棹の形状は、弾きやすさに大きく影響します。特に、棹の幅と胴に差し込む部分の寸法は重要です。できるだけ正確な墨付けを行って下さい。
 販売店の材料は、保管状態にもよりますが、乾燥が均一ではないと考えてください。このため最低でも数日は作業を行う場所と同じような環境に材料を放置し、水分による歪みを無くしてください。この時、材料を壁に立て掛けて、全ての面の風通しを良くして下さい。
 乾燥終了後は、材料の歪みを確認し、必要なら面の修正を行います。修正不要の目安は、面と面の直角度の場合は目視でほぼ直角であること、各面の平面度(反り)の場合は800mmで1㎜以内です。修正が不能な程変形した場合は、材料の素性が悪いと思って、使用をあきらめた方がよいでしょう。
 次に、棹の表裏・上下を決めます。表は目視で凹面になっている側とします。棹の表側、端から150mmから300mmの範囲(弦を押さえる頻度の高いエリア)で、堅い方を上として下さい。表は弦を張る側、上は糸巻き側です。
 さらに、棹の長さと同じになるように材料を切断します。これで墨付け準備完了です。


 墨付け

 まず、基準となる線を引きます。基準線は棹の上端から580mmで、胴に差し込む付け根の位置となります。最初に表面(絃を張る側)に側面に対して垂直な線を引きます。この線を基準に、裏面にも同様の線を引きます。ただし、裏面の基準線は上端から580mmより少し短い距離になることに注意してください。
 次に、表面に棹の図面から正面図を写します。裏面には、糸を巻きとる部分の角穴と胴に差し込む部分のみ描きます。側面に棹の図面の側面図を写して、棹の墨付けは終了です。このとき、カラクイ(糸巻き)用の穴の中心を書き込むのを忘れないでください。3本のカラクイのうちの2本は側面に対して垂直ではないので、注意が必要です。
 棹の頭の部分の幅が広くなり始める位置には注意が必要です。この部分に左手の人差し指が触っている状態で弦を押さえたとき、「乙」「上」「五」の音がでるようになっています。サイズの異なる三線や、頭の部分のデザインが異なる三線を作るときはこの条件を満たすようにしてください。サイズの異なる三線を作る場合は、「音階」について述べている項の計算式を参考にして、幅が広くなり始める場所を求めてください。
 墨付け寸法は、「図2 棹」を参照してください。

棹墨付け.jpg

図2 棹
図2 棹.png
図面の保存と利用方法と三線の組立図はこちら。

三線おやじの三線作り11 棹を作る(材料) [手作り三線]

今回からは、棹づくりの話です。
まず、材料の選び方を説明します。
この説明を書いた頃は、硬くて安い材料の存在は知りませんでしたが、最近、高級ウッドデッキの材料として輸入されるようになった材料に、棹に使えるものがあることを知りました。
イペ、ウリンと呼ばれている、重くて硬い材料です。
どうしても硬い材料で棹を作りたいと思う方や、四六時中三線を弾いていたいのでなるべく丈夫な棹にしたいと思う方は試してみてください。
ただし、ここで紹介している檜に比べると加工はかなり大変になります。
檜で勘所をつかんでから、加工がより難しい材料に挑戦することをお勧めします。

棹の製作

材料の選び方

 三線の棹は、弦を張る力に耐え、時間を経ても変形しない特性が必要です。そして、優れた音質を得るにはなるべく堅い木が良いとされています。これらの条件を満たす材料として、伝統的な三線には八重山黒木と呼ばれる黒檀が使われています。現在、八重山黒木は自然保護の観点から伐採が制限されているので、三線にも輸入黒檀が使われているようです。
 黒檀は、とても高価であるばかりでなく、堅くて加工しにくい材料です。変形を最小限に抑えるには、粗加工した後に長期間寝かせておく必要があります。しかも、三線の棹に加工できるほどの大きさの黒檀は、一般のお店では取り扱っていません。
 DIYで作る三線の棹は、檜で十分と思います。私が二年前に作った最初の三線の棹は、現在でも十分その機能を果たしています。檜の難点は柔らかいことです。表面に押さえた弦の跡が付きます。押された部分のへこみが演奏に支障をきたすようになったら、鉋がけをすれば問題を解決できます。面倒ですが、この点は自分で作った物の良さでもあります。
 木目がまっすぐで柾目で重くて歪みの少ないものを選んで下さい。木目が整っていて歪みが少ないものは変形しにくい特性を持っています。同じ種類の木でも、育った場所や部位によって堅さは異なります。より重い方が堅くて、弦を押さえた跡が付きにくくなります。800mm x 40mm x 27mmが必要最小限の大きさとなるので、このサイズに近いプレカット材を選んで下さい。

棹の材料.jpg
 檜以外の手に入りやすい材料としては、ラワン、米栂(ベイツガ)等が使えると思います。他にも使える木はあるでしょう。慣れてきたら、より堅い木で棹を作って、檜との音色の違いを楽しむこともできると思います。

ものづくりは何でも大変! [雑談]

しばらくブログを更新しなかった理由。
この一ヶ月程、慣れない編集をやっていた為です。
やっていたのは「瀬戸川新聞」。
瀬戸川は、三線おやじが住んでいる地域を流れる川です。
その川を題材に、地図と瀬戸川に関する話題を新聞形式でまとめています。
その原稿を今日、印刷に回しました。
記事が10ページ、地図が3枚見開きで6ページ、合計16ページ。
サイズはタブロイド。(普通の新聞の半分のサイズ)
瀬戸川フォーラムという団体の10周年記念として発行されます。
5月5日13時から、藤枝市の生涯学習センターで行われる瀬戸川フォーラムのイベントに参加すれば、この新聞を手に入れることができます。


今回、この編集に関わってみて感じたのは、
物づくりは、対象がなんであれ奥が深く大変だということです。
ここ一ヶ月は、この編集作業以外でパソコンに触る気持ちすら起こりませんでした。
今は、完成した後の充実感より、虚脱状態の方が勝っています。
さらに、完成したものをあまり見たくない気分です。
サラリーマン時代、大きなプロジェクトが終わった後の感覚と似ています。
このブログも、やっとの思いで書いています。


表紙
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瀬戸川上流の地図
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瀬戸川中流の地図
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瀬戸川下流の地図
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三線おやじの三線作り10 歌口とウマ [手作り三線]

カンカラ三線3.jpg
皆様、長らくお待たせしました。
いよいよ三線作りの本題に入ります。

どんなものも、2つ以上のパーツがあれば基準となるパーツがあります。
3つ以上のパーツがあるなら、そこには基準の順序があります。
ものづくりはまず基準の最上位となるパーツ作りから始めます。
私が思う三線における基準の最上位パーツは歌口です。
基準の順序は歌口、棹、胴(チーガ)、糸巻き(カラクイ)となります。ウマ、弦、猿尾(サールージュウ)には特に順序はありません。

では、三線づくりを始めましょう。

三線の製作

カンカラ三線を作ろう

 三線作りは、カンカラ三線から始めることをお勧めします。チーガ(胴)に布を張るタイプの三線は、出来が良ければ伝統的な三線に近い音が出るのですが、製作前の準備事項が多く、製作工程ではより細かい配慮が必要となります。カンカラ三線で三線製作の勘所をつかんでから、次のステップとして布を張るタイプに挑戦してください。カンカラ三線でも十分三線の雰囲気を味わうことができます。
 チーガ以外の部品は全て、布を張るタイプと共通で使えます。

歌口をつくる

 歌口は、弦の高さ(棹と弦の距離)を決める重要な部品なので、加工精度を良くする事はもちろんですが、棹に対して精度良く取り付ける必要があります。歌口は棹の加工を行う前に作り、現物を合わせながら棹の歌口取付部分を加工してください。
 歌口は厚さ3㎜のなるべく堅い材料で作ります。堅いプラスチックが良いでしょう。アクリルの定規を流用すると安くできます。

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 プラスチックは、木工用の鋸で切断できます。外形寸法は重要です。鋸で少し大きめに切断した後に、ノギスで寸法を測定しながら、丁寧にヤスリで仕上げてください。
 弦を掛ける溝の幅と深さそして溝と溝の間隔も重要です。弾きやすさを決める部分ですから、誤差がなるべく少なくなるように加工してください。また、歌口を平たい面に置いたとき、ガタが無く真っ直ぐ立つように底面を仕上げてください。底面の加工精度が悪いと演奏時に歌口が異常な振動をして、音がびびるようになります。
 詳細は添付の「図5 歌口」を参照してください。

ウマをつくる

 ウマの材料には竹を使います。乾燥した厚さ7mm以上の竹が必要です。竹を使った製品を利用すると良いでしょう。ざる蕎麦用のセイロの枠がお勧めです。

ウマせいろ.jpg ウマ2種類.jpg
 最初に、底辺の長さが7mm・高さ11mmの三角形を断面に持つ三角柱を作ります。次に、三角柱の側面にウマの外形を罫書きます。ウマは消耗品なので、複数作りましょう。

ウマ加工.jpg
 罫書き線にそって、鋸で切断し、小刀とヤスリで形を整えてください。共鳴板と接触する面は、ウマを立てて置いたときガタつかないように仕上げてください。このときに、ウマの高さに注意し、削り過ぎないようにしてください。弦が棹から所定の高さになるように、弦を架ける溝の深さを決めて下さい。共鳴板に接触する面と弦を架ける溝の底までの距離は、図面上は9.5mmです。市販品と互換性を持たせるなら、この距離を9.5mmから10mmの間にしてください。
 共鳴板に接触する面の面積によって、音色と音量が変化します。面積を増やすと、音量は下がり、音色はまろやかになります。面積を減らすと、音量は増し、甲高い音になります。好みに応じて調整して下さい。
 詳細寸法は、付録の「図6 ウマ」を参照してください。

図5 歌口 図6 ウマ.png
図面の保存と利用方法、三線の組立図はこちら。

布ぞうり台 [DIY]

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布ぞうりを作るための台を組み立て式で作った話を以前書きました。
このぞうり台を作った目的は、
・収納するときのスペースを減らす。
・持ち運びに便利。
の2点でした。
もちろん、一台だけでした。
ところが、妻が布ぞうり作りの指導をすることになり、2つ追加で作りました。
さらに、この台がほしいという方が表れて、2つ追加で作ることになりました。
そのパーツの写真が最初の写真です。
現在我が家には4台のぞうり台があります。
結局、一台分と同じかそれ以上のスペースを占領しています。

組み立てて使うとこうなります。
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三線おやじの三線作り9 サイズ違いの三線のための音楽理論 [手作り三線]

長らく続いた前置きも、今回が最後です。
ということで、音楽理論を少し書きます。
「やれやれ」と思っている方の為に、エクセルに数式を入れれば弦を押さえる位置を計算してくれるサンプルも付けます。
もし、この三線作りが提供するサイズとは異なる三線を作りたくなったときに、このコーナーを見てください。

サイズ違いの三線.jpg
 三線にはギターのようなフレットは無いので、厳密な音程について知らなくても製作に支障はありません。
 とは言っても、演奏をするには、押さえる場所がわからないと慣れるまでは不安です。そこで、棹に押さえる場所の目印を付けることをお勧めします。目印を付ける場所は、以前のブログ「章前 図面を見るには」の「図1 三線組図」に示してあるとおりです。演奏者から見える棹の左側面にマジックやシールで印を付けてください。
 サイズの異なる三線の場合は、印を付ける場所は図面とは異なります。そんな三線を作りたい方のために、弦楽器における音階と押さえる場所の関係を示しておきます。
 弦を弾いたときに出る音の高さは、弦を押さえる場所により変化します。その音の高さは抑えた場所からウマまでの距離に反比例します。たとえば、どこも押さえない場合にたいして、歌口とウマの中間を押さえたときの音の高さは、距離が半分になったので2倍の音の高さとなります。
 音の高さは、一秒間に空気が振動する回数である周波数で表すことができます。私たちが慣れ親しんでいるドレミファ・・という音階は、基準の高さの音に対する周波数の比というわけです。音階には、単純な周波数比で表される自然音階と、厳密な数式に基づいた周波数比で表される平均律音階があります。自然音階も平均律音階も周波数比で表される訳ですから、ウマから歌口までの距離をL、周波数比をAとすると、押さえる場所Pは次の式で表されます。

ポジション式.gif
 自然音階は、一オクターブ(完全8度)が1:2、完全5度が2:3、のように表現されます。三線で目印を付ける場所は長2度(8:9)、長3度(4:5)、完全4度(3:4)、完全5度(2:3)ですからAにそれぞれの数値を代入すればPの値を得ることができます。たとえば、最初の目印は長2度ですから、周波数比Aは9/8となります。
 平均律音階の場合周波数比Aは次のように表されます。

平均率周波数比.gif
 但し、Tは0から12までの整数です。0だと同じ音(完全1度)、12だと一オクターブ(完全8度)になります。印をつけるのは、Tの値が2, 4, 5, 7の位置です。
 図面の目印の場所は、平均律音階で計算しています。平均律音階と自然音階は完全1度と完全8度を除いて完全に一致しませんが、人の耳ではその違いを聞き分けることはできないといわれています。
 Pはウマから押さえる場所までの距離です。図面の目印の寸法は歌口から押さえる場所までの距離ですから、(L-P)の値になります。

エクセルで計算するには

 難しい話はともかく、実際にどのように計算すれば弦を押さえる位置が解るのかとおっしゃる方の為に、エクセルのサンプルを準備しました。
 G列の12~14行と17~19行に半角文字で式を入力します。
 これらの式をコピーして、横のC,D,E,Fに貼り付けます。
 ($が付いていない値は自動的に変更してくれます。もしうまくいかない場合は、式中のGを各列の文字に置き換えてください(G列で=$C$8/G12となっていればC列では=$C$8/C12とします。)。)

三線ポジション計算.gif
3月14日11:15以前にこの表を見て計算を試した方にお詫びします。
式の行番号が1だけずれていました。今現在は正しい表示に訂正されています。

三線おやじの三線作り8 道具の手入れと設計図 [手作り三線]

今回は、道具の手入れと設計図について書きます。

ほとんどの道具は管理と手入れを怠らなければ、DIYレベルの使用頻度なら一生使うことができると思います。
管理とは、道具が錆びたりしないような場所に無理な力が加わらないように保管することです。
手入れとは、使用した後の掃除のことです。
でも、刃物の手入れはちょっと違います。

設計図。 物を思ったとおりに作るための必需品だと思っています。

道具の手入れ

 DIYでも道具の手入れは必要です。道具は手入れをしなければ、だんだん扱いにくくなってきます。扱いにくさがこうじると、怪我をしやすくなります。怪我まではいかなくても、扱いにくい道具を使っていたのでは三線作りを楽しむことはできません。
 刃物を除く道具の大部分は、特別な訓練をしなくても手入れをすることができます。ところが、最も手入れが要求される道具が刃物なのです。切れにくい刃物を使った加工は、仕上がり精度が悪く、労力は余分にかかり、とても危険です。昔はドリルの刃や鋸の刃も手入れしていたようですが、今は強い刃を作る技術ができて長持ちするようになり、大量生産で値段も手頃になっているので、切れ味が悪くなったら新品を購入すればよくなっています。しかし、小刀・鉋・鑿は、現代の技術を持ってしてもそれ以上の物ができないのか、昔ながらの方法で作られているものが主流です。これらの道具は、使う人が自分で手入れをすることを前提として作られています。やっかいなことに、新品の場合は、最初に手入れをしなければ、その機能が正常に発揮されないのです。
 ではどうすれば良いのでしょう。私の知る限りでは、刃を砥ぐ技術を習得することが最良の解決方法です。それも、水と砥石を使った昔ながらの方法を習得することを勧めます。砥ぎの技術を習得すれば、包丁も砥ぐことができて家族から感謝されると思います。最近、水を使わない簡便な砥ぎ器が出回っていますが、刃先が鈍って切れ味が長持ちしなくなるので避けた方がよいでしょう。鑿や鉋については、刃を砥ぐだけでなく、裏押しをする方法を習得することも勧めます。

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 砥ぎを習得するには、その技術を持っている人に教えてもらうのが一番だと思います。DIYの解説書もたくさん出回っているので参考になると思います。砥ぎ方について簡単に一ページ位でまとめてあるものではなく、しつこいくらい丁寧に説明してある解説書を選んでください。私の方法は自己流ですし、このコーナーの目的ではないので、詳細説明はご容赦ください。


設計図を書こう

 私は、何かを作る前に必ず設計図を書くことにしています。紙の切れ端に殴り書きで大まかな形と寸法を書くのではなく、CADを使って、なるべく正確に書くように心がけています。形状が単純な物も例外としないようにしています。
 理由は単純で、失敗したくないからです。作り始めてから間違いに気付くと、手間もかかるし材料も無駄になります。何よりも、楽しいはずのDIYがストレスになってしまいます。設計図作りも慣れてくると楽しむことができるようになります。作りたいものを図形にすることによってイメージが具体的になり、加工方法について考えたり、形や機能をより良くすることができるようになります。
 CADなんか使わなくても、手書きで十分とおっしゃるかもしれません。もしあなたが、定規やコンパスを使って正確な図面を書かれているのなら、その通りです。図面は正確でなければ、出来上がりのイメージを膨らませる事は困難です。
 一昔前は正確な設計図を書くためには特殊な道具と技術が必要でしたが、今ではCADの使い方を覚えれば誰でも正確な図面を書くことができるようになりました。

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 CADなんて設計のプロが使うものだし値段も高いと思っていらっしゃる方が多いと思います。そんな方にぜひ一度試していただきたいのがJW-CADです。このCADは使い方が簡単なだけでなく、無料なのです。広く建築業界で使われているので、参考書もたくさん出ています。このブログで紹介する図面もJW-CADで書いています。インターネットの検索エンジンに「JW-CAD」と入力していただければ、ダウンロードするプログラムを提供しているHPアドレスは簡単にわかります。(JW-CADのHPはこちら

 ぜひ一度試してみてください。間違いなく、DIYの領域が広がります。

三線おやじの三線作り7 必用な道具と材料(2) [手作り三線]

三線おやじ流三線作りに必要な道具と材料の説明の2回目です。
カンカラ三線だけで使用する道具には(カンカラ)、布張り三線だけで使用する道具には(布張り)のかっこ書きがあります。
いつになったら本題に入るのかとうんざりしている方に「次回から本題です。」と言いたい所ですが、
「道具の手入れと設計図の薦め」
「サイズ違いの三線を作る方のための音楽理論」
を書いてからとなりそうです。
じらせているようですみません。


 三線作りに使うのは、一般的な大工道具です。ほんの少しですが、洋裁用品・スポーツ用品・文房具を流用しています。
 写真の大きさは道具の大きさに比例していません。サイズを指定してない道具は、標準タイプのものを準備してください。又、三線作りに必要だがどこの家庭にでもありそうな道具類(ドライバーやハンマー等)は除外してあります。


ヤスリとブラシ.jpg
木工用平ヤスリ
 棹や胴の形を整えるときに使います。両側の面は荒目と細目になっているので、削る量によって使い分けてください。写真は荒目側です。

鉄工用丸ヤスリ 200mm(径8mm)
 カラクイを差し込むテーパ穴の仕上げに使います。指定サイズを準備してください。

真鍮ブラシ
 ヤスリの掃除をする必需品です。目詰まり防止のため、必ず準備しましょう。

ヤスリセット.jpg
ヤスリセット
 細かい形状を整えるときの必需品です。ウマ、歌口の加工等に使います。

電動ドリル.jpg
電動ドリル 
 穴空け作業に使います。電池式が作業には便利です。穴空け・ネジ締め等DIYのさまざまな用途に使うことができるので、トルクリミッター付き(回転する力を制御できるので、木ネジの締めすぎを防止できる)の電池式タイプを準備することを薦めます。

ドリルの刃.jpg
ドリルオイル(カンカラ)
 金属に穴を空ける場合に、ドリルビットに付けます。ドリルビットを長持ちさせるためにも準備した方が良いでしょう。

下穴錐(木工用)
 穴の位置と角度の精度を良くする為に使用します。

木工用ドリルビット
 木工専用のドリル刃です。三線の加工では、直径10mmと13mmがあると便利です。

サラモミビット
 穴の面取りや皿ビス用の面取りに使います。ドリルで穴を空ける前にドリルビットの直径より大きめにサラモミ加工をしておけば、穴の角がめくれる可能性を減少させることが出来ます。

ドリルビット
 金属・木工兼用のドリルの刃です。DIYショップで一般的に扱っている直径1.5mm~6.5mmのセットで十分です。穴を空ける位置の精度を良くするため、ポンチはある方が良いでしょう。

ドリルガイド・傾斜プレート.jpg
ドリルガイド
 面に対して正確に垂直な穴を空けるための治具です。カラクイを差し込む穴を、棹に空けるときに使います。ボール盤がある場合は不要です。

ドリルガイド用傾斜プレート
 棹にカラクイ用の穴を空けるとき、ドリルガイドに取り付けて使用します。カラクイ用の穴のうち二つは、面に対して81度の傾きで空ける必要があります。正確にこの角度で空けるのは困難なので、9度の傾斜を持ったプレートをドリルガイドの下に取り付けて穴加工を行ってください。販売されていない治具なので、自作してください。角度調整が可能なドリルガイドやボール盤がある場合はこの治具は不要です。

ジグソー.jpg
ジグソー
 直線または緩やかな曲線で材料を切断するときに使います。まわし引き鋸でも代用できますが、棹の側面の切断や布張りタイプの胴の中央に穴を空ける加工は手作業では大変なので、準備した方がよいでしょう。

サンダー.jpg
電動サンダー
 紙ヤスリをかけるときに使います。電動でなくても紙ヤスリをかけることはできますが、あると便利です。

ハサミ・カッター・へら.jpg
へら(布張り)
 胴に布を貼る接着剤を均一に伸ばすために使います。刃がギザギザになっていると、接着剤の塗布量のバラツキを抑えることができます。刃の部分の長さが25mm位が使い易いでしょう。

金鋏(カンカラ)
 金属用のハサミです。缶を胴にする場合使用します。

丸刃カッター(布張り)
 布を切断するときに使います。胴に布を貼った後、胴の側面で布を切断するので、普通のカッターでは作業が大変になります。このカッターを準備してください。

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トレーニングチューブ(布張り)
 胴に布を貼るときに使用します。スポーツ用品として販売されています。サイズは問いません。長さは1m以上必要です。


三線おやじ流三線作りでつかう材料

 ここでは、三線作りに必要となる塗料などの材料について列挙します。三線そのものを構成する部品の材料については、本文で詳しく説明しているので、そちらを参照してください。


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柿渋
 棹の塗料として使います。一本の三線に必要な量は20cc以下です。DIYショップの塗料コーナーに置いてあります。塗料としては高価で500ccで2千円くらいします。無臭タイプもありますが、少し色が薄く、塗る回数を多めにする必要があります。

オイルフィニッシュ
 木工用の塗料で、木の表面に染みこませるタイプです。カラクイに使用するので、少量で十分です。柿渋の濃い茶色と釣り合いの取れる色を選んでください。桂や花梨をカラクイにする場合は、無着色で良いでしょう。

サンドペーパー(写真なし)
 木の表面仕上げに使います。#100と#240を準備してください。#100で形を整えて、#240で表面仕上げを行います。

接着剤
 木工用の水性接着剤を使います。木工ボンドとして販売されています。胴に布を貼るために使用します。一回の使用量は10g以下です。
 棹やカラクイの加工中に起こる材料のメクレや欠けの補修にも必要です。

アルコール(布張り)
 胴に布を貼るときに使用します。布に吹き付けるので、スプレー用ノズルが付いたタイプを準備してください。消毒用として販売されているアルコールで十分です。

三線おやじの三線作り6 必用な道具と材料(1) [手作り三線]

三線おやじ流の三線作りに必用な道具と材料を2回に分けて紹介します。
カンカラ三線のみで使用する道具には(カンカラ)、布張り三線のみで使用する道具には(布張り)と書いてあります。

 三線作りに使うのは、一般的な大工道具です。ほんの少しですが、洋裁用品・スポーツ用品・文房具を流用しています。
 写真の大きさは道具の大きさに比例していません。サイズを指定してない道具は、標準タイプのものを準備してください。又、三線作りに必要だがどこの家庭にでもありそうな道具類(ドライバーやハンマー等)は除外してあります。


円定規
 小径の円を描くときにあると便利です。からくいの加工で、直径6mmの円を描くときに使用します。文房具として販売されています。

スコヤ
 木工の必需品です。面に垂直な線を引いたり、直角な部分の加工精度を確認したり等、さまざまな用途で使います。

直尺
 様々な用途があります。あると便利です。


曲尺
 「かねじゃく」と読みます。木工には欠かすことのできない物差しです。直線を引いたり、長さを測ったり、直角を調べるだけではありません。その用途は幅広く、規矩術としてまとめられて、さまざまな書物が出版されています。

ノギス
 0.05mmの精度で長さを測ることができます。三線の加工では、0.1mmの精度が必要な箇所もあるので、揃えてください。


罫引(ケビキ)
 木工の必需品です。基準面に平行な線を、正確で再現性良く簡単に引くことができます。

ケガキペン(カンカラ)
 金属に線を書くためのペンです。缶を胴にする場合のケガキ針として使います。

万力
 ヤスリ掛けや鋸引きなど両手を使う作業では、加工する物を固定する必要があります。精度の良い加工を安全に行うには欠かせない道具です。できれば木工用を準備してください。一般用途の万力の場合は、写真のようにつかむ部分のあて木を作って、つかんだ材料に傷が付かないようにしてください。

(写真なし)
 100グラム単位まで測定できる体重計が手に入れやすくて、用途としても適しています。貼った布の張力や、缶の振動板の強さの測定に使います。


クランプ
 棹や胴の加工に使います。正確な加工を安全に行うための必需品です。100mm以上の厚みがつかめるもの2個以上準備してください。


鋸 両刃
 横引き用と縦引き用の刃が付いている鋸です。木目に沿った方向に切断する場合は縦引き刃を使った方が、速くて精度良く切断できます。鋸を一本だけにするなら、このタイプを薦めます。

鋸 横引き
 木目に対して角度を持たせて切断する場合に使用します。DIYショップで売られている主流はこのタイプの鋸です。

鋸 胴付き
 寸法精度の高い切断が要求される場所で使います。歌口やウマの加工用としてあると便利です。


平鉋
 木工には欠かせない道具ですが、扱いに慣れるには少し時間がかかります。扱い方を間違えると全く用をなさないので、正しい扱い方を知る必要があります。扱いに慣れている人に尋ねるか、木工の解説書を参考にしてください。台の幅が80mm位が一般的です。できれば、台の幅が50mm程度の豆平ガンナも準備しましょう。片手で扱えるので、角の面取り用として便利です。鉋を使う頻度が高い場合は、台直し鉋も準備して鉋の手入れをしてください。

鑿(追入鑿)
 木工に欠かせない道具です。普通、鑿といえば汎用性の高い追入鑿のことです。三線の加工用としては、刃の幅が3分(9mm)と5分(15mm)があると作業がやりやすくなります。


小刀
 棹の曲面や胴の角穴などを加工するときに使います。良く切れるものを選びましょう。写真は左利き用です。

小刀(小)
 胴の角穴加工等に使用します。必ずしも必要ありませんが、細かい作業には有れば便利です。写真は左利き用です。


三線おやじの三線作り5 三線作りを始める前に [手作り三線]

今回は、三線作りを始める前に理解しておいてほしいことについて述べます。

三線の全体像

 三線の各部には写真に示す呼び名がついています。弦は、太い弦を男弦(ウージル)、中間の弦を中弦(ナカジル)、細い弦を女弦(ミージル)とよびます。このブログでは弦を除く全てのパーツの作り方について説明します。

三線作りの基本

 基準となる部品を最初に製作し、他の部品はその基準部品と組み合わせながら加工すると、楽器として機能する、狂いの少ない三線を作ることができます。部品の加工順序は、歌口、棹(さお)、胴(チーガ)又は糸巻き(カラクイ)となります。ウマと猿尾(サールージュウ)には製作順序の指定はありません。
 それぞれの部品についての説明では、その部品の役割、製作に当たっての注意事項とその理由について挙げていきます。これらの勘所をあらかじめ理解してから作れば、より良い三線ができるでしょう。

三線作りに使う道具

 三線作りで使用する道具の大部分は、通常のDIYで使うものと同じです。必要な道具をそろえてから製作を始めてください。ブログでは「三線づくりに必要な道具と材料」を最初に説明します。

三線作りの材料

 三線を構成する部品の材料については、各部品の製作方法を述べる項目で解説していきます。それ以外に必要な材料については、「三線づくりに必要な道具と材料」をご覧ください。

三線の扱い方

 部品の組み立て方や弦の交換方法など、三線の扱い方については、「三線の扱い方入門」をご覧ください。演奏方法についても少し説明するつもりです。

三線の製作図

 製作図は部品の加工を説明するときに掲載します。部品によっては、0.1mm単位の加工精度が必要となるため、製作図は厳密な表現が可能な製図のルールである第三角法で書いてあります。三角法については既に述べた「図面の読み方」を見てください。


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