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三線おやじ 久々に登場 [三線]

このブログ、じつに一ヶ月ぶりです。
この一ヶ月は、三線おやじにとってはつらい日々でした。
5年ほど前に体を壊して仕事をやめた話はこのブログのどこかで書きました。
この7月から、ほぼ5年ぶりに仕事をすることになりました。
知り合いから頼まれ、三線おやじとしてもやれそうと思い受けた仕事でした。
ところが、7月の始めにものすごく暑い日があり、そのときに自覚できるほどの不整脈となり、病院に行って診察してもらいました。
体を壊したときの治療薬は心臓に負担がかかり、許容量を超えるほどの投薬が行われたのでいつ心不全となってもおかしくないといわれていて、そのままにはしておけなかったのです。
さて、診察の結果は不整脈は今すぐ処置する必要は無いが、肺に穴が空いているので安静が必要とのことでした。
昨年も同じ頃発病して入院までした気胸にかかっていたのです。
仕事には4日行っただけで、今日まで自宅療養です。
三線おやじ、かなりへこんでしまいました。

そんな中、妻が誘ってくれた行きつけの和風レストラン一祥庵でのコンサートでうれしいことがありました。
出演者が、皆さんの前で三線を演奏する機会を三線おやじに与えてくださったのです。
今回の演目は、和太鼓と三線による沖縄民謡でした。
和太鼓は麻機(あさばた)太鼓のみなさん。
沖縄民謡は石田さんという、三線と沖縄民謡を愛しボランティアで施設の訪問などをされている方です。
三線おやじの作った三線が一祥庵の壁に飾ってあり、それがきっかけで、初対面なのに一曲演奏させてもらうことになりました。
病気で落ち込んでいた三線おやじには何よりの薬でした。
石田さん、そして三線おやじのつたない演奏を聞いてくださった聴衆の方々、ほんとうにありがとうございました。

080727一祥庵蔵コン.jpg
一祥庵の蔵コンの様子。

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左は石田さん。右は三線おやじの晴れ姿。

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一祥庵の前の庭で行われた麻機太鼓の演奏風景

三線おやじ流 三線の扱い方入門3 工工四 [手作り三線]

三線の扱い方の最終回は、三線の楽譜について書きます。

三線専用の楽譜は工工四(クンクンシー)と呼ばれます。
いきなり工工四を見ても、何のことかわからないと思います。
机上でただ説明を受けても、理解するのは大変だと思います。

やはり、三線を実際に弾きながら工工四の理屈を理解するのがベストだと思います。

三線に興味のある方ならどなたでも一度は耳にしたことのある、
「てぃんさぐぬ花」と「安里屋ユンタ」を例として載せます。

通常の楽譜、TAB譜(ギターで良く使われる楽譜。各弦に押さえる場所を記入した楽譜)と工工四を載せます。
これらの楽譜を見比べていただければ、工工四の理屈を理解していただけると思います。

楽譜をクリックすれば、別画面で拡大表示されます。

てぃんさぐぬ花工工四.png

てぃんさぐぬ花TAB譜.png

安里屋ユンタ工工四.png

安里屋ユンタTAB譜1.png
安里屋ユンタTAB譜2.png
安里屋ユンタTAB譜3.png

余談ですが、これらの楽譜も三線おやじの手作りです。
エクセルを利用し、フリーの楽譜フォントを使って作りました。
三線の弦を押さえる場所の文字は、通常のフォントを利用して三線用のフォントを作りました。
版権の問題でそのまま提供することはできないと思います。
やり方については、そのうちに説明するかもしれません。

三線おやじ流 三線の扱い方入門2 三線を弾く [手作り三線]

今回は三線の弾き方です。
この部分は載せるかどうか迷いました。

先生について三線の弾き方を学んだ事も無い私のようなものが書いても良いのか?
専門家からみれば、間違っている部分もあるだろう?
こんな思いを持ちながらも、あえて載せることにしました。

あくまで、三線おやじ流という事でご勘弁ください。

三線を弾く

音を出す準備

 三線を倒したりしてウマの部分に無理な力がかかると、ウマが壊れたり、皮(布)が破けたりすることがあります。このため、演奏時以外はウマを弦から外しておきましょう。したがって、演奏を始めるときはウマを立てることから始めることになります。
ウマの扱い1.jpg

 ウマを立てるときも皮に無理な力がかからないように注意してください。弦を指で引っ張り上げて弦と皮の間に十分な隙間を作ってからウマをセットしてください。
 ウマを立てる位置は胴の端から指3~4本の所です。ウマを立てる位置にしるしを付けておいても良いでしょう。また、ウマを立ててたときに傾いている方を猿尾側にしてください。
ウマの扱い2.jpg

音を合わせる

 三線の音を合わせる事を「チンダミ」と言います。三線は文字通り3本の弦しかありませんから、音合わせ(チンダミ)は3本の弦の音を合わせるだけです。通常、男弦(太)はド、中弦(中)はファ、女弦(細)はド(男弦の1オクターブ上)に合わせます。手近にある楽器やチューニングメーターで音を合わせてください。
 三線には次のような音合わせの方法があります。

 本調子

 最もよく使われる調弦方法です。通常はド、ファ、ドと合わせます。レ、ソ、レと合わせても本調子です。

 二揚げ

 本調子の中弦を一音(全音)上げます。男弦がドなら、中弦はソ、女弦はドとなります。

 三下げ

 本調子の女弦を一音(全音)下げます。男弦がドなら、中弦はファ、女弦はシの♭となります。

 三線の音合わせの呼び方は、絶対的な音の高さではなく、3本の弦の音の高さの関係で決まっていることに注意してください。曲によって絶対的な音の高さ(キー)が変わると三線はその都度音合わせ(チンダミ)を行う必要があります。同じ曲でも、歌う人が歌いやすい音の高さ(キー)に合わせるなら、チンダミを行います。
 キーが変わるとチンダミを行うのは面倒ですが、三線を弾く指使いのパターンは同じとなり、演奏するのは簡単になります。三線の弦が三本しかなく、歌いながら弾くことが多いので、このようになっていると思います。

三線を弾く

 弾き方については、三線を弾ける人に聞くか、三線の教則本に頼ることを薦めます。ここで述べているやり方は、私が弾きやすいと思っている方法です。ギターを弾いた経験が少しあるので、かなり影響を受けていると思います。三線の演奏方法については、沖縄に旅行したときに一時間ほど手ほどきをうけただけで、あとは市販の教則本頼りです。

 三線の持ち方

 写真を参考にして下さい。歌いながら弾くことが基本になっているので、歌いやすい姿勢で構えて下さい。背筋を伸ばして、肩の力を抜いて下さい。
三線の持ち方1.jpg
 演奏時に左手がなるべく自由になるように、右腕主体で三線を支えます。三線を右ひざに乗せて、右の腕を三線の胴に乗せます。左手を使わなくても三線が支えられるようにしてください。このとき、右手首の力は抜いてください。
 棹は、握らないで下さい。人差し指の付け根と親指で軽く支えるような感じで持ちます。
三線の持ち方2.jpg

 弦の押さえ方

 基本的には、人差し指・中指・小指で弦を押さえます。
 押さえる場所は図のようになります。図の西洋音階との対応は、男弦をドにした本調子の場合です。他の調弦方法でも、押さえる場所の呼び名は変わりません。三線専用の楽譜は工工四(クンクンシー)と呼ばれ、押さえる場所の呼び名と長さが列記されています。
押さえる場所と呼び方.gif
 押さえる場所の指の割り当ては表のようになります。
読み方と指使い.gif


 弦の弾きかた

 弦は、通常手首を動かして人差し指の爪、ピック又は三線用のばちで弾いて音を出します。
 三線用のばちで弾くと、音量も大きく三線らしい音になりますが、慣れるのに時間がかかります。また、沖縄以外の場所で手に入れるのは困難です。
 ギター用のピックがお奨めです。なるべく固めのピックを使う方が三線らしい音になります。
 それぞれの使い方は写真のようになります。
ピックと指で弾く.jpg
バチで弾く.jpg

 演奏方法

 弦を上から下に弾くのが基本です。この場合特に呼び名はありません。
 ・打音(ウチウトゥ)
ウチウトゥ.gif 左手(棹を持っている手)だけで弾きます。楽譜では、このように文字の右上に点が付きます。 

 ・掛音(カチウトゥ)
カチウトゥ.gif 弦を下から上に引っかけるように弾きます。楽譜では、このように文字の右上にカギかっこが付きます。

三線おやじ流 三線の扱い方入門1 部品の組立 [手作り三線]

これまで、カンカラ三線の作り方を説明してきました。
とは言ってもパーツが出来ただけで、これでは三線とはいえません。
組み立てて弾いてこそ三線です。
知り合いに頼まれて三線を作ったとき、説明用としてまとめた「沖縄三線 扱い方入門」を載せます。
三線おやじの我流ですが、少しは役に立つと思います。
三線の扱いをちゃんと習得したい方は、先生につくか教則本を購入されることを薦めます。

沖縄三線 扱い方入門.jpg

 これまでは、三線の部品を作る方法を述べてきました。ここでは、三線の組み立て方や弦の交換方法等、三線を扱う為に必要な事柄について説明しています。
 演奏方法については、初歩の初歩、ほんのさわりだけ書いてあります。実際の演奏を聴いて、そのまねをして自分のものとすることが、三線演奏の本来のあり方のようです。最近は、三線の演奏が入った沖縄音楽のCDがたくさん出ています。気に入ったCDを購入し、その曲が練習曲として入っている教則本を購入して弾いてみる事が、三線を楽しむ近道と思います。三線の教則本は、比較的規模の大きい楽器屋さんには置いてあるので、試してみてください。
 三線は沖縄の楽器ですから、各部の呼び方も沖縄の言葉がベースになっています。地域によっては異なった呼び方もあるようです。
三線各部の名称.jpg

三線の組み立て

歌口の取り付け

 写真のように、棹に歌口を取り付けます。歌口にガタがあると、音がびびる原因となります。取り付けた歌口の両端を交互に押さえてガタがあれば、棹側の歌口を取り付ける部分又は、歌口の底面の修正を行ってください。
 棹の表面から弦を架ける溝までの高さも重要です。歌口を棹の取り付け口にしっかり押し込んで高さの確認を行ってください。
歌口取付け.jpg

カラクイの取り付け

 カラクイを棹の穴にしっかり押し込んでください。この状態でカラクイを横に動かしてガタが有るなら、穴又はカラクイを修正して、ガタの無いようにしてください。
カラクイ取付け.jpg

胴の取り付け

 胴の角穴に棹を差し込みます。棹を差し込むときに、なるべく横方向の力を加えないように注意してください。横方向に無理な力を加えると、胴の角穴が変形したり壊れることがあります。弦を張る力で棹が胴に押し付けられるので、棹と角穴の多少のガタは気にする必要はありません。
棹を胴に取付け.jpg

弦を張る

 まず、猿尾(サールージュウ)を棹の端に掛けて下さい。
 次に、サールージュウに弦を結びます。ここでは、二つの方法を紹介します。最初の方法は、私が通常使っている方法です。ほとんどの場合はこの方法で大丈夫ですが、細い弦の場合に強く引っ張ると解けてしまうことがあります。そのような場合は、2番目に紹介している方法を試してください。他にも様々な結び方があるようです。演奏に支障が無ければどんな結び方でもかまわないと思います。いろいろ試してみてください。
弦 猿尾取付け1.jpg
弦 猿尾取付け2.jpg
 次に、カラクイに弦を通して巻き上げれば弦を張る作業は終わりです。どのカラクイにどの弦を通し、どの方向に巻くのかについては、写真を参考にしてください。また、弦を強く張る前に、棹に対する弦の位置が適正になるように、サールージュウの位置を調整してください。
弦 カラクイ部分の処理.jpg

三線おやじの三線作り17 猿尾づくりと弦 [手作り三線]

カンカラ三線づくりの説明が今回で終わり、「三線おやじの三線作り」も一段落です。
出来上がったパーツを組み立てて、三線を完成させてください。
組み立て方については、次回説明するつもりです。
三線の扱いや弾き方については、三線の教則本を購入されることをお薦めします。

出来上がった三線があなたのお役に立てることを祈ります。

今後は、チーガに布を張る少し本格的な三線作りの紹介となります。

猿尾の製作

材料の選びかた

猿尾材料.jpg サールージュウ(猿尾)は、弦と棹を繋ぐ重要な部品です。弦を張る力と同じ力が加わるので、それに耐える強度が必要になります。また、音の高さが変化しないように、引っ張られたとき伸びにくい性質も要求されます。さらに、目立つ場所に取り付けるので、美的要素を考慮する事も必要です。要求される寸法は紐の直径だけで、1.5mmから2.0mmです。1つのサールージュを作るのに約80㎝の長さがいります。

猿尾.jpg 強度の点から、材質は化学繊維を推奨します。美的要素を考慮するなら組紐が良いのですが、伸びやすい欠点があります。この欠点を補ってくれるのが、芯入りの組紐です。京結び紐の芯入りがお勧めです。DIYショップではなくクラフトショップで販売しています。
 紐の結び方は、「図9 猿尾(サールージュウ)」を参照してください。紐の端はほつれ易いので、接着剤で固めるか、熱で溶かしてください。

図9 猿尾.png
図面の保存と利用方法、三線の組立図はこちら。

三線の弦

弦.jpg 三線の絃だけは、流用できる材料を見つけることが出来ませんでした。釣り糸には様々な種類があるので期待したのですが、流用できそうな物は見つかりませんでした。もしあったとしても、弦として必要となるのは1m程ですからずいぶん割高になってしまうでしょう。
 三線用の絃は、3本セットで300円程度で販売されています。問題なのは、沖縄以外の楽器店では、ほとんど扱われていないことです。送料が絃と同じ位になってしまいますが、インターネットで注文して取り寄せる方法をお勧めします。
 市販されている三線の絃の直径を測定したら、女絃0.65mm、中絃0.8mm、男絃0.95mmでした。三種類の絃はすべて撚り糸になっています。材質はたぶんナイロンです。流用品を探したい方は参考にしてください。

三線おやじの三線作り16 カラクイを作る [手作り三線]

今回はカラクイの作り方です。
あとすこしで全てのパーツが揃うことになります。
三線が出来上がったらすぐに弾いてみたくなると思います。
そろそろ、三線の弦を手に入れる手配をしておいてください。
弦だけは、三線用の市販品を使います。
沖縄以外にお住まいの方はインターネットで取り寄せるのが良いと思います。
1セット(3本)で300円くらいです。(送料も300円くらいかかります。)
推奨メーカー及び推奨販売店はとくにありません。

カラクイの製作

材料の選びかた

 からくい(糸巻き)の弦を巻き上げる部分には強い力がかかるので、変形しにくく割れにくい材料が必要です。月桂樹、桂の芯材、花梨、黒檀、紫檀などがお勧めです。弦を巻き上げる部分が圧縮されて変形しますが、檜も使用可能です。割れたり折れたりすることを避けるためには、木目の方向が重要です。材料の長さ方向に沿った木目のものを選んでください。檜以外のこれらの材料は、比較的高価です。一本のからくい製作に必要なのは、長さ106mmで一辺が15mmの角材です。木材としては小さいので、端材コーナーなどで安いものが見つかることもあります。カラクイ3本分必要となるのは言うまでもありません。

カラクイ材料.jpg

加工

カラクイ斜め加工.jpg 最初に、一辺が15mm長さが106mm以上の角材(正四角柱)を準備します。角材の断面はできるだけ正方形になるように、鉋などを使って調整してください。
 「図8 からくい加工手順」が示すように、角材を傾斜の付いた四角柱に加工した後、傾斜の付いた八角柱に加工します。所定より長い角材を加工しているなら、ここで106mmの長さに切断してください。八角柱の先端側の糸を巻き上げるために棹に差し込む部分も、同じ要領で四角柱から八角柱へと加工します。そして、棹のテーパ穴とのはまり具合を確認しながらナイフやヤスリで断面が丸くなるように加工してください。製作図面と写真を参考にして作業手順の具体的なイメージを得て下さい。

カラクイ加工手順.jpg
 弦を通す穴は直径1.5mmのドリルで空けてください。このとき、穴を広げる力がかかった場合に穴が裂けにくくなるように、木目の方向を考慮して穴を空けてください。
 仕上げは#240のサンドペーパーをかけてください。棹に差し込む部分は、テーパ穴とのはまり具合を確認し、削りすぎないように注意してください。
 塗装はオイルフィニッシュがお勧めです。色は、棹とのバランスを考えて選んでください。
 詳細な寸法は、「図7 からくい」と「図8 からくい加工手順」を参照してください。
図7 からくい.png
図8 からくい加工手順.png
図面の保存と利用方法、三線の組立図はこちら。

自転車の目線もなかなか [雑談]

このところ、三線作りの記事が続いてしまいました。
私の中では、三線以外で話題に出来そうなものがないのでしょうがありません。
今日は、久しぶりに三線以外の話題です。

2日前、家から片道4km程のところに新しく出来たコーヒーハウス(元町珈琲 静岡藤枝の離れ)に、自転車で朝食を食べに行きました。
妻に急用ができて、前の晩から車で出かけてしまいました。
朝食を作ろうにも、買い物から始めなければなりません。
いつもは妻に頼っているので、買い物をしてもまともなものは作れません。
我が家にはもう一台車があるのですが、燃費が今ひとつで、朝食だけの為に車を使うのは、このガソリンが高騰している中気が引けてしまいます。そこで、息子が高校時代に使っていた自転車で出かけることにしました。
このところ我が家の階段を昇り降りしても息切れするほど体力がなくなってしまった私にしてみれば、ちょっとした冒険です。
恐る恐る、なるべく力を使わないように心がけながら自転車を走らせました。
無事コーヒーハウスに着いて、目的のモーニングセットにありつきました。
トースト、ゆで卵、ミニサラダ、ヨーグルト、コーヒーで500円はそれなりです。
行きは、主に下りだったので楽でした。
帰りは、逆ですから当然のようにきつくなります。
5月にしては暑く、良く晴れて太陽も照り付けてきます。
体調に問題を抱えている私としては、正直不安でした。
それを救ってくれたのが、瀬戸川の土手の桜のトンネルです。
今の時期は、太陽をさえぎってくれるし、川からの涼風も体を包んでくれます。
おかげで、なんとか家までたどり着きました。
080530自転車.jpg
080530瀬戸川土手.jpg
瀬戸川の土手。桜の時期も綺麗ですが、今の時期も役に立ちます。

初めて携帯電話の写真機能を使いました。
パソコンにデータを移すには面倒な手続きが必要でした。
(なるべく、携帯のパケット通信を使わせようとしているので、それ以外の方法には不親切)
おかげで、この記事をアップするのに3日もかかってしまいました。

三線おやじの三線作り15 缶チーガ(胴) [手作り三線]

いよいよ、チーガ(胴)の製作です。
今回は、缶を使うタイプについて説明します。
三線づくりに使う道具の中に秤がありました。
秤を何に使うのだろう?と思われた方もいらっしゃると思います。
今回、その点も明らかになります。

缶チーガの製作

材料の選びかた

 共鳴板にする部分を叩いてみて響きの良い缶を選んでください。但し、叩いて良い音がしてもナベの底のように板厚が厚いと、弦の振動を十分な音量に変えることができません。なるべく板厚の薄い物にしてください。共鳴板部分以外は堅牢である方がお勧めです。サイズとしては、直径が140mmから180mm、高さが30mmから90mmが許容範囲です。大きければ低い音、小さければ高い音が良く響きます。見た目にはチーガ(胴)の部分が少し小さめになりますが、直径150mm、高さ50mm位が良い音がします。
 缶の底を共鳴板にするのが普通の考え方ですが、蓋を共鳴板にする方法もあります。缶のデザインを楽しめる三線になりますが、棹を差し込む角穴を空けるため、蓋の高さが19mm以上必要になります。また、蓋と本体の両方、合計4ヶ所に角穴を開ける必要があります。クッキー、キャンディー、チョコレートの缶を流用すると良いでしょう。


墨付け

 罫書き(墨付け)を行うのは、棹を通すための角穴だけです。但し、この角穴の最適位置は、缶の特性によって変わるので、注意が必要です。
 三線では、張られた弦と棹の間隔が重要になります。この間隔が、演奏しやすさと音の良し悪しを決める要因の一つとなります。棹と弦の間隔は、一方は歌口、もう一方はウマの高さで決まります。歌口は直接棹に取り付けるので理解しやすいと思います。ウマは共鳴板の上に置かれています。共鳴板は缶の一部ですから、棹を固定するための缶の角穴の位置が、弦と棹の間隔に影響する事は理解して頂けると思います。
 では、共鳴板から決められた距離に角穴を空ければ良いかというと、それだけではありません。共鳴板は、弦を張る力がウマに伝わって沈み込むのです。弦を張ったときにウマを共鳴板方向に押す力は約1.3kgです。従って、1.3kgでウマを置く場所を押した時の沈み込み量を考慮して、棹を通す角穴を空ける位置を決める必要があります。
缶角穴位置のための測定.jpg 沈み込み量の測定は、写真のように行うと良いでしょう。100g単位まで量ることができる秤の上に缶と測定器具を載せて、秤の表示を読みます。読み取った表示に対して1.3kg加算されるまで、ノギスでウマを立てる部分を押さえて、その時の沈み込み量を測定します。
 共鳴板を押す力1.3kgはウマと歌口の距離が610mmの場合です。サイズの異なる三線を作る場合は、歌口からウマまでの距離をLmmとした場合、Lを610で割った値の平方根に1.3kgを掛けた値が共鳴板を押す力になります。たとえば、歌口からウマまでが500mmとすると、共鳴板を押す力は1.18kgとなります。ただし、弦は610mmの場合と同じ材質と太さです。

 角穴を罫書くには、最初にセンターラインを決めます。缶のデザインを考慮して自分が気に入った角度をセンターラインとしてください。罫書き針を使うと跡が残るので、マジックペン等を使って、センターラインを描いてください。次に、角穴の上側(共鳴板に近い側)の線を罫書きます。最初に測定した沈み込み量に3.2mm加えると、共鳴板から角穴上辺までの距離となります。センターラインと上辺を基準にして一辺16mmの正四角形を罫書いてください。角穴を加工する時、角穴の中心にも穴を空ける必要があるので、対角線も罫書いてください。「図4 缶チーガ」を見ると罫書きの具体的なイメージを作りやすいと思います。


缶の角穴加工

 缶のチーガで加工する箇所は角穴だけです。この角穴が、棹との位置関係、ひいては棹と弦の間隔を決める事になります。棹を所定の位置にガタの無いように収めるために、角穴の加工は、現物の棹を合わせながら行ってください。
缶角穴加工.jpg 罫書かれた角穴用の四角形の四隅に直径1.5mmの穴を空けます。四角形の中央には直径6mmの穴を空けます。角穴の中央部から四隅の穴に向かって、対角線沿いに金バサミで切り込みを入れます。切込みを入れた部分を缶の内側に向かって直角に折り曲げます。折り曲げ代を3mm程残して、折り曲げた部分の先端を切り取ります。まず、角穴の共鳴板側の曲げ代部分を180度折り曲げてください。曲げて出来た稜線が共鳴板に対して平行かつ所定の距離になるようにしてください。この稜線を基準に角穴が所定の大きさになるように、棹を差し込みながらそれぞれの曲げ代部分を180度曲げてください。「図4 缶チーガ」の「角穴部加工手順」を参考にしてください。

缶角穴仕上げ.jpg 板金を曲げて出来る稜線の位置は、罫書き線で曲げると、線からは少しずれます。このズレを考慮して曲げる場所を決める必要があります。缶と同じ板厚の金属の切れ端で試して、勘所をつかんでから角穴部分の曲げ加工を行うと良いでしょう。それでも、0.1mm単位で調整を行うのは困難です。叩いて伸ばしたりヤスリで落として、棹と角穴のはまり具合の最終調整を行ってください。

缶蓋付き.jpg 蓋を共鳴板にする場合、まず蓋側の角穴を加工します。棹を差し込んで確認する最終調整まで行ってください。次に、缶の本体に蓋をした後、蓋の角穴をガイドにして本体側の角穴を罫書きます。角穴を空ける手順は前述の通りです。



振動調整コマ
 
缶音色調整コマ.jpg 缶は板厚が薄いので、振動させるとビビリが出ます。このビビリを防止するために、写真のようなコマを取り付けます。このコマは共鳴板と棹の間に挟み込む事で、共鳴板の振動状態を調整する働きをします。棹を差し込んだ状態でコマをはめ込んで、コマの厚さを決めてください。コマは両面テープで振動板側に取り付けます。取り付け位置によって音色が変わります。写真の位置が比較的良い音がでます。コマが付いている側が竿の上方向です。コマの角は、棹を差し込むときに引っかからないように丸めてください。


缶チーガ加工図
図4 缶チーガ.png
図面の保存と利用方法、三線の組立図はこちら。

三線おやじの三線作り14 棹を作る(仕上げ) [手作り三線]

いよいよ棹の仕上げです。
ここで失敗すると、最初からやり直しになってしまいます。
特に、削りすぎには注意してください。

棹の仕上げ加工
 粗加工の行程で述べたように、棹の加工精度の良し悪しで三線の弾きやすさが決まります。仕上げ行程でも、できあがりの寸法に留意して作業を行ってください。
 粗加工後に棹が歪む事があります。粗加工後、少なくとも丸一日は棹を作業環境に放置してください。このとき、殆ど変形していなければそのまま仕上げ作業を行ってください。目に見えて変形している場合は、まだ変形が進んでいる可能性があります。さらに放置して変形が止まってから仕上げ加工を始めてください。材料によっては長期間寝かせて歪みを取る必要があるものもあります。
 仕上げ加工は、木工ヤスリで形を整えた後にサンドペーパーで表面を滑らかにします。棹の丸みを持たせる部分は、小刀でおおまかな形状を出し、木工ヤスリで角を落とした後サンドペーパーをかけます。
 仕上げ加工の基準面は、棹の表側です。この面を基準に、側面・裏面・胴に差し込む部分の順番に加工します。


木工ヤスリによる加工
 まず棹の表側の面を仕上げてください。この面に歪みや大きな傷の無い状態にしてください。
棹仕上側面.jpg
 つぎに、棹の側面を木工ヤスリで整えます。この時に表側から見て、側面のカーブがなだらかになるようにしてください。また、側面は表面に対して垂直になるよう注意してください。ここで最も重要な寸法は、棹の幅です。見た目を重視するあまり、削り過ぎてしまわないよう注意してください。
 そして、棹の裏面を木工ヤスリで整えます。棹の厚みが寸法通りになるようにしてください。
 胴に差し込む部分は、胴の角穴に対してガタが無いこと、胴の表面と棹の表面が決められた角度となることが重要です。この部分の加工は、寸法通りに仕上げることが要求されます。面の滑らかさはあまり気にする必要はありません。
 胴に差し込む部分の表側の面の仕上げを最初に行います。この面は、棹の下側から見たとき、棹の表面に対し平行になるようにします。また、この面の傾き具合も寸法通りになるようにしてください。次に側面・裏面と仕上げを行います。向かい合う面の距離の寸法誤差は0.1mm以内に収まるように、ノギスで測定しながら仕上げを行ってください。それぞれの面の平面度も重要です。たいらな面になるように、確認しながら作業を進めてください。
棹仕上差込部平行度.jpg
棹仕上差込部傾き.jpg
棹仕上差込部幅.jpg
棹仕上差込部真直度.jpg

棹の形を整える
棹仕上曲面.jpg 側面と裏面の接する角は演奏時に手が触れる場所なので、半径10mm程度に丸くします。いきなり丸面を作ることは困難なので、断面が正8角形・正16角形となるようにナイフで加工した後に、角を木工ヤスリで落として丸くします。見た目で丸くなった後は、加工面に指先を当てて滑らせ、デコボコが感じられなくなる様にヤスリがけしてください。

棹仕上曲面手順.jpg
棹仕上反り量.jpg 弦を押さえたとき、弦が棹の表面に接触する量をなるべく少なくする為に、弦を張っている側に棹を少し反らせます。反らせるのは、歌口から150mm位までで、反り量は0.3mm程度です。反り量が多すぎると音がビビリ易くなるので注意が必要です。弦を張ると棹が少し反るので、実際に音を出してみて、反り量を決めても良いでしょう。


カラクイ用穴の仕上げ

棹仕上カラクイ穴.jpg カラクイを差し込む穴は、鉄工用丸ヤスリ200mm(径8mm)の先端が斜めになっている部分を使って、円錐形状に仕上げます。ヤスリの先端が径の小さい方の穴の入り口に届いたら止めてください。この方法だと、市販のカラクイとはテーパの角度が少し異なります。市販品を流用する場合は、市販品に合わせた穴にしてください。


紙ヤスリによる表面仕上げ
 胴に差し込む部分は、表面の滑らかさより寸法が大切です。この部分は、削りすぎないように、ノギスで測定しながらヤスリをかけてください。角は、0.5mmから1.0mmを目安に面取りを行ってください。特に、胴に差し込む部分の面取りを忘れないでください。
 #100程度の紙ヤスリをかけた後、#240程度の紙ヤスリをかけてください。次に濡れたぞうきんで棹を拭いて、表面全体を湿らせてください。乾燥させると、表面の細かい歪みが取れて、毛羽立った状態になります。ふたたび、#240の紙ヤスリでこの表面を磨きます。この時、少し使った紙ヤスリの面でヤスリ掛けを行ってください。こうすることにより、塗装後も毛羽立ちの少ない滑らかな面になります。


塗装

棹塗装.jpg 塗装は、手触りと見た目の良さを考慮して、柿渋を使うことにしました。柿渋は、古くから使われている自然塗料で、防水効果、表面を堅くする効果などがあります。
 まず、棹の表面の汚れを落とします。アルコールを付けた布で拭くと良いでしょう。表面が乾燥したら、柿渋を布に染みこませて、すり込むようにして塗ります。同じ作業を3回くらい繰り返します。柿渋は、酸化によって徐々に発色します。時間をかけて色が濃くなるので、目的とする色より少し薄めで塗装を終了してください。また、塗布直後は臭いが気になると思いますが、時間がたてば臭わなくなります。最近は、無臭の柿渋も販売されています。
 これで、棹は完成です。塗装後一日以上放置して、組み立てを行ってください。


棹完成.jpg

三線おやじの三線作り13 棹を作る(粗加工) [手作り三線]

まわりくどい!とイライラしている方も多いと思います。
お待たせしました。
今回で、やっと三線らしい形が見えてきます。

棹の粗加工

 棹は三線の要です。従って、精度の良い加工を心がける必要があります。加工精度が甘いと部品の位置関係がずれて、弾きにくい三線になってしまいます。はめ込み部分を加工する場合は、ガタが出ないように心がけて下さい。また、粗加工後に材料が歪むこともあります。この変形と仕上げ代を考慮してケガキ線より少し大きめに加工するようにしてください。


カラクイ用の穴加工

棹カラクイ部完成見本.jpg
 3本の弦の長さはなるべく同じにしたいが手で巻き上げる空間は確保しなければならないので、2本のカラクイを取り付ける側の穴は、斜めになっています。1本のカラクイを取り付ける側の穴も含めた、3つの穴の位置と角度がずれていると、カラクイを差し込んだときの見栄えも悪くなるので、正確な加工が必要です。
 また、弦が緩まないようにカラクイをしっかり固定する必要があるので、穴も円錐形状(テーパ穴)になっています。3つの穴のテーパの角度を同じにしないと、カラクイの互換性がなくなってしまいます。
 ボール盤があれば楽に精度の良い加工が行えます。ここでは、ボール盤を使わない方法を説明しています。
棹カラクイ部斜め穴治具.jpg
 カラクイ用の斜めの穴の角度を同じにする為に、ドリルガイドに取り付ける斜めのプレートを作ります。傾斜プレートの詳細については、三線製作に使用する道具の項を参照してください。
 カラクイ用の穴加工は、まず下穴錐にて深さ20mm程度の下穴を6ヶ所に空けます。下穴を反対側まで通さないのは、穴の位置ズレを最小限に抑えるためです。穴の仕上げ加工を行うとき多少のずれなら修正できるので、相対する下穴の中心線が完全に一致している必要はありません。
棹カラクイ部下穴加工.jpg
 次に、直径6.5mm・深さ20mmの穴を、テーパ穴の穴径の大きい側から3ヶ所に空けます。この時、空けた穴の角がめくれないように注意してください。
 さらに、直径4.8mm・深さ20mmの穴を、テーパ穴の穴径の小さい側から3ヶ所に空けます。この時、空けた穴の角がめくれないように注意してください。
 穴の角がめくれるのを防ぐには、サラモミビットを使うと良いでしょう。サラモミビットは、穴の面取りや皿ビス用の面取り等、穴を空けた後に使うのが普通ですが、穴を空ける前にドリルビットの直径より大きめにサラモミ加工をしておけば、穴の角がめくれる可能性を減少させることが出来ます。


カラクイ部分の角穴加工


棹カラクイ部角穴加工.jpg 加工しやすくするために、まず角穴となる中央部分に数カ所ドリルで穴を空けた後、鑿で角穴に加工します。穴を空ける前に、角穴の罫書き線の内側0.5mmくらいのところに鑿を入れておきましょう。こうすることで、角穴の境界を越えて木がめくれ上がるのを防ぐことが出来ます。

棹歌口からくい部.jpg 歌口を取り付ける部分は、棹の表面から弦までの高さを決めるとともに、音質にも影響する重要な部分です。歌口が取り付けられた時にガタが無く、出っ張った部分の高さも正確でなければなりません。そこで、あらかじめ作っておいた歌口をはめ込んで確認しながら、歌口を取り付ける部分の加工を行いましょう。


胴に差し込む部分と厚みの加工


棹差込部加工.jpg 胴に差し込む部分も、弦の高さを決める重要な部分です。加工後に歪むことも考慮して、少し大きめになるように注意しながら加工して下さい。写真のように縦引きの鋸を使うか、ジグソーで切断すると良いでしょう。
 棹の厚みは、三線の強度を決めると同時に、弾きやすさにも影響します。薄くなり過ぎないように注意して加工してください。縦引き鋸またはジグソーで切断すると良いでしょう。特に、ジグソーを使用する場合は、切り込みすぎないよう気をつけてください。



棹の側面の加工

棹側面加工.jpg 弦と弦の間隔は、歌口側の方が狭く、ウマ側の方が広くなっています。弾きやすくするためには、棹の幅も弦と弦の間隔の変化に従って変える必要があります。また、胴に近い方は、強度を増して見栄えも良くするため曲線にして幅を広げています。そこで、棹の側面の切断加工には、曲面加工ができるジグソーか回し引き鋸を使います。
 棹の幅は、広すぎても狭すぎても弾きにくくなります。仕上げ加工後に所定の寸法になるように少し大きめに切断してください。

棹荒加工完了.jpg

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