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三線おやじの三線作り はじめに(奥は深いが基本は意外と単純) [手作り三線]


三線おやじが初めて作ったカンカラ三線。

 最初の三線を完成させたときの感動は、今でも忘れません。クッキーの缶を胴にしたシンプルな三線でしたが、音からは沖縄の香りが漂ってくるのです。メロディーもちゃんと奏でることができました。いろいろ考えながら作っているときも楽しかったのですが、完成した三線が、楽器として機能すると知ったときの喜びも格別でした。
 DIYを趣味とする人でも、自分で楽器を作ってみようと思う方は少ないでしょう。DIYは、棚のようなシンプルな物づくりから始めて、椅子やテーブルなどの難しい課題に移っていくのが普通と思います。私もその一人でした。DIYの楽しさは、作る喜びだけではなく、作った物がちゃんと機能して評価されるところにもあると思います。小学校で使った縦笛、弾くことにあこがれたピアノ、流行につられて購入したギター、どれをとっても、楽器として機能するように作るポイントが解りません。横笛のように単純そうな楽器でも、正確な音程を得る方法で行き詰まってしまうでしょう。楽器として機能させるための音程の厳密さが、DIYから楽器を遠ざけているのだと思います。
 音程の厳密さを要求しない楽器といえば打楽器ですが、それゆえ、メロディーを奏でることはできません。作るときは音程の厳密さを云々しないが、出来上がったらメロディーを奏でることのできる楽器、そんな夢のような楽器があるのでしょうか。


沖縄で購入した、本格的な三線。三線おやじにとっては大きな買い物でした。

 三線とか三味線の構造を思い浮かべてみてください。音程を決めるのは棹の上に張られた弦です。弦の太さと張る強さで音の高さを決め、指で弦を棹に押さえつけて弾けばメロディーを奏でることができます。でも、これだけでは耳を弦に近づけなければ聴き取れない程の音量にしかなりません。それを補うのが、音を大きく響かせる太鼓のような構造の胴です。つまり、三線や三味線はメロディーを奏でることを可能にした太鼓、打楽器の簡便さを備えたメロディー楽器という訳です。
 そういう気持ちで三線や三味線を眺めても、自分で作ることができるとは思えないでしょう。漆が塗られた加工が難しそうな棹や動物の皮が張られた胴など、素人にはとても手を出すことができない世界に見えます。この感覚を打破してくれたのが、沖縄の簡易タイプの三線です。手に入りやすい安価な木材を棹にし、缶を胴にした三線が販売されているのです。楽器としても入門用なら十分です。DIYをたしなむ人なら、間違いなく自作できるレベルです。伝統的な方法で製作された三線でも、普及タイプには蛇の皮の代わりにナイロン布が張ってあります。このことは、少し無理をすれば、本物に近い音が出る三線も製作できることを示唆しています。


胴にナイロン布を貼った三線。三線おやじの最新作(2007/1)

 このブログではでは、三線の胴として缶だけでなく布を張るタイプの製作方法についても解説するつもりです。胴以外の三線を構成する部品は両方のタイプに使えるようにしてあります。まず缶のタイプを製作すると良いでしょう。缶のタイプでも三線の特徴である癒しの音は出ます。布のタイプは、音色は良いのですが、布を張る道具作りから始める必要が有るので、少し手間がかかります。缶の音に満足出来なくなったら作ってみてください。
 三線のデザインは好みに応じて変更すればよいと思います。自分の手の大きさに合わせたサイズにしたり、胴やカラクイを取り付ける部分のデザインを変えたりして、あなた独自の三線を作ってください。弾きやすさと音色に関係するポイントについては、重要事項として説明するつもりですから、この点だけは守って頂ければ、あとは自由です。
 作業時間は手際よくやっても実動で30時間くらいはかかります。胴が缶のタイプでも20時間はかかると思ってください。作る時間を楽しむこともDIYの良さですから、じっくりと時間をかけて、心をこめて作ってください。
 三線は弦が3本なので、とても演奏しやすい楽器です。伝統的な楽器で今も多くの人に親しまれているのですから、奥は深く極めようとすれば大変ですが、楽しむ事ができるレベルまでなら短期間で到達できます。大きさも手ごろで、インテリアとして壁にかけておく事もできます。プレゼントとしても喜ばれると思います。作って楽しめ、演奏して楽しめる。そんなあなたの三線作りのお手伝いができればと思います。


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